2026年7月29日
wordpress
「All-in-One WP Migration」の.wpressデータ、解凍できます!
「All-in-One WP Migration」の.wpressデータ、解凍できます!
こんなニッチな仕組み、誰が使うの?と思う方もいるかもしれません。
でも、たまたま…本当にたまたま、「All-in-One WP Migrationのパッケージ化されたバックアップデータを展開して、中にある過去データを使いたい…」と切実に思ってしまったのです。
wordpressでサイトを管理していて、BackUpや移植、復元用データを保存する際に、非常に便利なプラグイン「All-in-One WP Migration」。
「有料版の規格が変わってしまってAll-in-One WP Migrationなんて使っていないよ」という方もいるかもしれませんね。
本当にニッチなもの作ってしまいました。
興味のある方、是非、ご一読下さい。
All-in-One WP Migration とは
All-in-One WP Migration は、WordPress サイトのバックアップと移行を手軽に行えるプラグインです。
ServMask社が開発・提供しており、WordPress公式ディレクトリでのアクティブインストール数は500万以上。
世界で最も広く使われているバックアップ系プラグインのひとつです。
主な機能
- フルバックアップ:DB・プラグイン・テーマ・画像など WordPress を構成するすべてのデータを『.wpress』という1つのファイルにまとめる
- ワンクリック復元:管理画面からバックアップファイルをインポートするだけでサイトを丸ごと復元できる
- サーバー間移行:本番環境・ステージング環境・ローカル環境間のサイト移動が簡単に行える
- 技術不要:FTPやDBの知識がなくても使えるため、非エンジニアにも人気がある
料金体系
無料版はエクスポート・インポートの基本機能を備えており、多くのケースで十分に使えます。
インポートできるファイルサイズの上限を引き上げたい場合や、Dropbox・Google Drive などのクラウドストレージに直接バックアップしたい場合は有料の拡張版を購入する形です。
.wpress ファイルとは
All-in-One WP Migration が生成するバックアップファイルの独自形式です。拡張子は『.wpress』で、一見すると zip のように見えますが 一般的な解凍ツールでは展開できません。プラグインの「インポート」機能を使ってのみ、WordPress 管理画面から読み込める仕組みになっています。
この「.wpressデータは、管理画面経由でしか使えない」という点がそのまま本ツール開発のきっかけになりました。
はじめに
All-in-One WP Migration は非常に便利なプラグインですが、`.wpress` 形式には一つ不便な点があります。
フル復元はできても、「DBだけ」「プラグインだけ」を取り出すことができない。
実際にはphpmyadminにログインして、ダンプデータをエクスポートすれば、最新のDBデータは容易に入手できます。しかし…
バックアップにある「過去のDBデータ」が欲しい、となった場合には?
そのバックアップデータはAll-in-One WP Migrationでアーカイブされたデータだとしたら?
WEBの仕事に長く携わると、そんなシーンに出くわす事もあるのです。
こんな場面で困ったことはありませんか?
- プラグインをアップデートしたらサイトが壊れた → DBだけ戻したい
- 誤って画像を削除してしまった → uploadsフォルダから該当ファイルだけ取り出したい
- テーマのカスタマイズが壊れた → themesだけ復元したい
- 新しいサーバーに移行したい → DBのURLだけ書き換えてインポートしたい
バックアップはあるのに、サイト全体を上書き復元するしか手段がない…
こんなもどかしい状況に直面したことがある方に向けて、今回ツールを作成・公開しました。
.wpress ファイルの内部構造(解析結果)
『.wpress』 は一見 zip のような見た目ですが、一般的な解凍ツールでは展開できない独自形式です。
フォーマットをバイナリレベルで解析した結果、内部構造は以下のようになっています。
【エントリ1】
ヘッダ (4,377 bytes)
- ファイル名
- ファイルサイズ
- ディレクトリパス
- CRC32チェックサム
ファイルデータ (可変長)
【エントリ2】
…
この構造を利用して、必要なファイルだけを選択して取り出せるツールを作りました。
wpress-extractor の紹介
『wpress-extractor.html』 は、.wpress ファイルをブラウザだけで展開できる無料ツールです。
特徴
ブラウザだけで動く、インストール不要
HTML ファイルをダブルクリックするだけで起動します。
サーバーへのアップロードも、ソフトのインストールも不要です。
完全ローカル処理でプライバシー安全
ファイルの読み込みから展開まで、すべてブラウザ内で完結します。
バックアップデータがどこかのサーバーに送信されることは一切ありません。
カテゴリ別に取り出せる
DB・プラグイン・テーマ・メディア・言語ファイルを個別に選んで展開できます。
DBはそのままインポートできる状態に変換
All-in-One WP Migration のSQLには 『SERVMASK_PREFIX_』 というプレースホルダーが使われており、そのままでは MySQL にインポートできません。
本ツールは展開時に実際のテーブルプレフィックス(例:`wp_`)へ自動置換します。PHPシリアライズ文字列内の文字数も自動で再計算するため、手作業での修正は不要です。
CRC32による整合性チェック
展開時にファイルごとのCRC32チェックサムを検証し、破損ファイルを検知します。
使い方
1. 起動する
『wpress-extractor.html』 をダブルクリックしてブラウザで開きます。
JSZipライブラリの読み込みに初回のみインターネット接続が必要です。
2回目以降はオフラインでも動作します。
2. .wpress をドロップする
ドロップエリアに `.wpress` ファイルをドラッグ&ドロップするか、
エリアをクリックしてファイルを選択します。
自動スキャンが始まり、内容がカテゴリ別に表示されます。例えばこんな感じ。
- データベース:1件/110.3 MB
- プラグイン:7,677件/114.8 MB
- テーマ:2,186件/38.1 MB
- メディア:2,667件/259.4 MB
- 言語ファイル:165件/8.9 MB
3. 取り出すカテゴリを選ぶ
チェックボックスで取り出したいカテゴリを選択します。
「データベース」を選んだ場合、追加オプションが表示されます。
| 項目 | 説明 |
|---|---|
| テーブルプレフィックス | wp-config.php の $table_prefix の値を入力(多くの場合:wp_) |
| 移行先URL | 同じサイトへの復元なら空欄。別ドメインへの移行時のみ入力 |
4. 展開してダウンロード
「展開してダウンロード」ボタンを押すと処理が始まります。
- 「データベースのみ」 → .sql ファイルとして直接ダウンロード
- 「複数カテゴリ」 → .zip ファイルとしてまとめてダウンロード
ユースケース別チートシート
| やりたいこと | 選択するカテゴリ | DBオプション |
|---|---|---|
| サイト全体をDBだけ復元 | データベース | プレフィックス: wp_ / URL: 空欄 |
| 移行先URL | 同じサイトへの復元なら空欄 別ドメインへの移行時のみ入力 |
|
| プラグインを特定バージョンに戻す | プラグイン | |
| Avadaテーマ設定を復元 | テーマ | |
| 削除した画像を取り出す | メディア | |
| 別ドメインにサイトを移行 | データベース | プレフィックス: wp_ / URL: 移行先ドメイン |
注意事項
- .wpress ファイルにはDB・認証情報・個人情報が含まれます。展開後のファイルの取り扱いにご注意ください
- メディア(uploads)は数百MBになることがあります。他のカテゴリとは分けて展開することを推奨します
- 本ツールはAS ISで提供します。利用によって生じた損害について作者は責任を負いません
ダウンロードはこちらから
ZIPを解凍してください。HTML書類が自動的にブラウザで開く設定の方は 『wpress-extractor.html』 をダブルクリックするだけで使えます。ブラウザで開けない方は、お使いのブラウザを指定して開いて下さい。
初回だけ、JSZipライブラリの読み込みに初回のみインターネット接続が必要です。2回目以降はオフラインでも動作します。
技術的な補足(エンジニア向け)
.wpress のフォーマット解析にあたって、バイナリを直接読み解きました。
興味のある方向けに、判明したフォーマット仕様をツールのソースコードコメントに記載しています。
header offset 0- 99 : filename (null-terminated, UTF-8)
header offset 255-266 : filesize (decimal ASCII)
header offset 269-280 : mtime Unix timestamp (decimal ASCII)
header offset 281-511 : directory path (null-terminated)
header offset 4369-4376 : CRC32 of data (hex ASCII, 8 chars)
data starts at offset 4377, no alignment between entries
CRC32 はデータバイトのみで計算されており、ヘッダ部分は含まれません。
テーブルプレフィックス置換後のPHPシリアライズ文字列長の再計算は
s:(\d+):”…” パターンを正規表現で検索し、実際のバイト数で書き直す方法で対応しています。

